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特集

2010年7月29日

「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」始動 ―動画サイトで映像配信、市民の議論よぶ 【特集/教育】

デジタル技術を駆使した学習教材の普及を推進するため、産学連携で設立準備が進められた「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」が2010年7月27日正式に発足した。会長は三菱総合研究所理事長で、元東京大学総長の小宮山宏氏。

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すべての小中学生がデジタル教科書を持つ環境作りをめざして設立された「デジタル教科教材」(DiTT)は幹事会社19社、一般会員51社の合計70社でスタート。7月27日、設立シンポジウムを開催した。会員には出版社や新聞社、放送局、ゲーム会社などのコンテンツ事業者から、端末メーカー、通信機器メーカー、ソフトウェア会社、広告会社、シンクタンクなど様々な企業が参加。 民間主導の教育コンソーシアムである。

このシンポジウムの様子は「USTREAM」「ニコニコ生放送」でライブ配信された。Twitter上の実況ツイートも盛り上がりを見せ、テクノロジーと教育の未来について熱く議論がかわされた。こちらの映像アーカイブは「デジタル教科書教材協議会」のホームページを参照のこと。(http://ditt.jp/

登壇者は以下のとおり。

  • 原口一博氏
総務大臣
  • 鈴木寛氏
文部科学副大臣
  • 小宮山宏氏
株式会社三菱総合研究所理事長 元東京大学総長
  • 孫正義氏
ソフトバンク株式会社代表取締役社長
  • 樋口泰行氏
マイクロソフト株式会社代表執行役社長
  • 藤原和博氏
東京学芸大学客員教授
  • 中村伊知哉氏
慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授
 

13:30から始まったイベントでは、登壇者の挨拶と講演が続いたあとにパネルディスカッション、というスケジュールで行われた。

デジタル教材への世間的な興味関心は高く、会場となった明治記念館には人があふれ、インターネット上でもTwitterなどを使った一般人同士の議論も盛況であった。

 

登壇者の面々はデジタル教材導入の重要性と、それに伴う教育改革の必要性を強く主張した。ソフトバンクの孫正義社長は、教育を通して国際競争力の回復をはかることが急務と述べ、日本の現行の教育制度を強く批判しながら論を展開。紙の教科書では情報量が絶対的に足りないとし、デジタル教材の実証実験を開始すべきだと主張した。端末についても、日本の全学生・教員への無償配布するべきだと述べた。

こうした議論に対して、ネット上では「デジタル教材のバラマキだ」との意見も多く出た。ネット上の言論プラットフォーム「アゴラ」で池田信夫氏は、競争を排除した現行の非効率な教育システムの中で端末を配布しても効果は出ないと主張している。「道具やハコモノに税金を投入するバラマキ行政では、何も解決しない」というのはその通りである。

 

教育改革の具体的な案が示されるまでは、端末の無償配布の実現に対して反論が強く出るのは避けられないところ。デジタル教科書を導入する必然性がある程度見えてこないままでは、本格的な導入に向けての一歩は踏み出せないだろう。総務大臣の原口一博氏は祝辞のなかで、「現在の教科書を電子化したものをデジタル教科書とはとらえていない」と述べた。デジタル教材とは単に電子画面上でめくれる教科書ではなく、デジタルに以降する際には根本的に内容を変える必要があるのだ。その際には現行の教育カリキュラムをも変える大変革となるのは必至。

ソフトバンクの孫社長は、デジタル教科書のイメージについて具体的に述べた。孫氏は「子どもに感動を与えるものであるべき」と述べ、NHKアーカイブスのドキュメンタリー番組をすべて動画で見られるような、魅力的な教科書にしたいとしている。また、デジタル化によって「すべての学生が教科書のどこからどこまでを読み、どの問題でつまづいたか、を把握できるようになる」と指摘し、デジタルメディアの導入によって生徒個別の思考過程をたどることで、より丁寧な教育が可能になると予想した。

 

正直、デジタル教材の学校現場への導入には「やってみないとわからない」ことが多い。デジタル教科書の導入によってどのような授業が実現されるのか、カリキュラムにおける教育目標の達成のためにどんな工夫が必要なのか、そして生徒の使用感はどんなものなのか。原口総務相は、2010年に総務省が10ヵ所のフィーチャーズスクールを作る計画を明らかにしている。そういった実証を重ねることで、だんだんとデジタル教材の未来像をはっきりとさせていくほかないだろう。

デジタルの波が教育に押し寄せるとき、日本の教育制度に横たわる「一方向性」「エリート否定」の問題が立ちはだかる。教育における「ハード」はハードだけの問題ではなく、「ソフト」の変化が伴って実現するものだという問題意識を持たなければならない。

 

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