日本国内においても海外メディアにおいてもジャーナリストの質の低下が嘆かれている昨今だが、大学教育では将来のジャーナリストを養成するための専門教育が行われている。早稲田大、龍谷大、慶応大などで修士課程が開設されており、ほか日本大などでも開設予定だ。
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早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース(Jスクール)では、(1)政治経済をはじめとする幅広い専門知識の習得、(2)ジャーナリズムやメディアの役割に関する深い洞察、(3)批判的思考能力、(4)プロフェッショナルな取材・表現能力、(5)フィールドに基づく経験、という5つのコンセプトのもとで実践的なジャーナリズム教育を行っている。(Jスクールのホームページはこちら。)
現役の記者が講師となり、ジャーナリズムの実践的な知識を学ぶカリキュラムが設置されている。講義を聞くだけではなく、学生は実際に記者として取材を行い、原稿を書いてホームページ上で記事の公表を行っている。現役ジャーナリストを招いてシンポジウムを行うなどイベントも活発だ。
●早稲田大学ジャーナリズム大学院のウェブマガジン「Spork!」
慶応大では2009年4月から法学研究科修士課程政治学専攻に「ジャーナリズム専修コース」を設置。「政治に強い」「良質な」ジャーナリストの養成を目的としており、政治学の中で重要な「権力」という考え方について深く学ぶことを目指す。政治学だけではなく国際政治や地域研究、政治史の分野も学ぶことができる。マスコミ試験対策用およびジャーナリスト養成のためのメディア・コミュニケーション研究所の設置科目、例えば、時事問題、時事英語、文章作法、取材論などの履修も可能だ。2年以上の社会人経験を有する既卒者や留学生も受け入れる。
同大学では、独自の教育機関であるメディア・コミュニケーション研究所も擁しており、マスメディア関連への内定者を多く輩出している。
日本大学法学部新文学研究所は、昨年10月に上智大学と共同でジャーナリズム教育を考えるシンポジウムを開催するなど活発な教育活動を行っている。ネット広告を収入源としたインターネット新聞に既存の紙面がおされる中、ニュースメディアの現状を考えるカリキュラムが組まれている。
関西では、龍谷大で2008年度に社会学研究科社会学専攻にジャーナリズムコースを設置。授業では、記者会見で実際に使用された資料などをもとにしてニュース性を判断したり、原稿の書き方を学ぶトレーニングが行われている。学生はもちろん社会人の受け入れも進めるため入試制度に配慮する・昼夜開講制を実施するなどの措置もとられている。
神戸大学大学院法学研究科および法学部が運営するジャーナリズム・プログラムでは、社説執筆過程について学べる講義や取材・インタビューなどについて実践的に学べるワークショップが開かれており、著名なジャーナリスト・研究者を招いた講演会も行われている。また英文記事の解説を書いたりと、国際報道について学べる点も特徴的だ。
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こうしたジャーナリズム教育を推進している大学の機関では、社会人の受け入れを奨励している場合が多い。ジャーナリストとしてキャリアを積むうちに、学問的見地からジャーナリズムを見つめなおしたい、新たに能力を身につけたいとして大学院での教育の受け直しを考える社会人からの需要があるのだ。
社会人と学生が一緒になって学ぶ環境は、双方にとっても有益であるようだ。東京大学大学院情報学環教育部は、情報、メディア、コミュニケーションなどについて学びたい人々のための教育組織。2年間の教育カリキュラムの中でジャーナリズム、マスメディア、情報コミュニケーション技術などさまざまなテーマについて学ぶことができ、文理融合的な教育内容が特徴だ。他大学・社会人も多く入学しており、所属する学生の自主活動も活発。さまざまなバックグラウンドを持つ学生・社会人が集まる学習環境は、大学という枠を超えて社会と触れ合う刺激的な学びの場となっている。
ジャーナリストを育てる大学院は、ジャーナリストに与えられる「ピューリッツァー賞」を運営するコロンビア大学ジャーナリズム大学院など海外の有名どころの事例があるが、日本ではまだ少ない。海外では高度な経験と知識を身につけた専門職として認知され、個人での発言力も重視されるジャーナリストだが、報道機関の一職員といった見方が強く、記者個人の言説というよりは所属機関の性格にそった報道が行われる傾向が強い。しかし今回紹介した事例のように専門性の強いジャーナリスト教育機関が増えていけば、日本のジャーナリストの地位も変化していく可能性があるかもしれない。
学術的見地と実践的見地の両面からジャーナリズムを学べる大学の機関が、刻々と変化する社会の実情を的確にとらえる優秀な人材を育成するベースメントとして注目されるところだ。
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