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特集

2007年10月23日

特集:世界の教育①アメリカのサービスラーニング

これから暫く特集コーナーでは、日本以外の国で行われている教育実践を紹介していきたいと思います。
第1回目はアメリカの「サービスラーニング」。
  • 「サービスラーニング」とは
「サービスラーニング」とは、”コミュニティーのニーズを満した、教科カリキュラムと関連したサービス活動を通して、児童・生徒・学生のセルフ=エスティームやシチズンシップを涵養する学びであり、事前準備(Preparation)・活動(Action)・振り返り(Reflection)・祝福(Celebration)のプロセスを含む社会貢献型の体験学習である。”(定義)、ひと言で表せば「教室の知と社会実践をリンクさせる新しい教育プログラム」と要約できます。
普通の「奉仕活動」異なる点は、プロセスの中にもある「振り返り」を重要視している点です。
活動を通じて感じたことを記録し振り返ることで、その活動の意味を自分なりに深めていくことが、重要になります。
知識を実践と繋げ、その活動を振り返ることにより理解を深めていくこと―これがこのプログラムの特長です。
  • 「サービスラーニング」の歴史
「サービスラーニング」の基礎はおよそ100年前に教育学者ジョン・デューイが提唱した「体験的教育理論」だとされています。
デューイは経験を通じた学びこそ真の「学び」として、何事も実践を行うことを重視しました。
「サービスラーニング」のプロセスも彼の理論による影響を強く受けています。
「サービスラーニング」という言葉が生まれたのは1960年代後半のこと。
公民権運動を通じて、市民の自主的な活動が社会を変革させるという経験をした時代でもあります。
またもともとアメリカでは、キリスト教精神に基づくボランティア活動の伝統が根付いていたこともあり、青少年がボランティア活動を実践し成長することで、より社会的責任感が強くなるという社会的な共通理解が形成されてゆきました。
教育現場に登場してきたのは1980年代、課外活動として取り入れられ、次第にカリキュラムが確立されました。
当時アメリカでは急激な金融業会の発展を背景とした、若年層の拝金主義、「me-ism(ミーイズム)」(自分のことしか考えない)といった傾向に対する警鐘が鳴らされていました。
「サービスラーニング」はそのような状況の改善と、学習効果の向上を両立するものとして、1980年代後半から現在に至るまで、初等・中等・高等教育機関で盛んに実践されています。
  • 効果的な「サービスラーニング」
この「サービスラーニング」を効果的に実践するにはいくつか注意する点があります。
まず、活動内容が学習の結果を応用するものであること・生徒が自主的に考え、意見交換を行うこと・国や地域の社会的ニーズに合致した内容であること。
生徒の興味関心を刺激し、なおかつその結果が明瞭で社会の役に立っていることが必要不可欠です。 また、評価方法が統一されていることも重要です。
評価に当たっては、生徒がどのような実力を活動を通じて身に付けたかを評価し学習意欲を高めるものでなくてはなりません。
生徒・その活動・結果の多様性を尊重し、褒めることも重要です。
相違点を尊重し、生徒同士・生徒と地域でコミュニケーションを経験することでコミュニケーションのルールやともに働く人々を尊重する姿勢を養います。
そしてその成果を地域の人々に認められたたえられることで生徒自身が自らの行動に自信と責任を感じるようになります。
また生徒自身は自らの活動の反省や気付きを元に、「批判的思考」の実践を行うことも重要です。 物事を多角的に考え検証する姿勢を身に付けることができます。
以上のような点を意識しながら、「サービスラーニング」は実践されていきます。
  • 今日の日本で実践するとしたら
私個人的には、「サービスラーニング」は「奉仕活動」に比べ、社会問題に対する高い意識を身に付けられる点、青年期に社会の矛盾や不正義を目の当たりにして揺らいでしまう正義感や善悪の判断を「正しいものは認められるのだ」という実体験を通じて乗り越えられる点にある、と思いました。
また同時にこの実践のためには成熟した地域社会の共通意識が重要だとも思います。
所謂「身内意識」的な地域の慣習・癒着ではなく、地域全体が正常かつ共通の、強い善悪の判断基準を持っていないことには、効果的な実践は難しいでしょう。
「奉仕活動」が指導要領に盛り込まれた今、生徒ばかりでなく地域の大人たちも、公共意識とは何か考えるチャンスかもしれません。

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