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特集

2006年8月 1日

教科「情報」(高校)における産業協力授業

IT社会の中で、今後、子供たちがコンピュータとどう向き合っていくか

NPO法人・企業教育研究会は、IT教育推進の一環として、「産業協力情報授業プロジェクト」として、財団法人・コンピュータ教育開発センター、ヤフー株式会社とともに新しいネットビジネスの企画を提案する「情報」の授業を高校生を対象に実施した。

これからの子供たちが、今後のI社会で、どのようにコンピュータと向き合っていくかを考えていく上で貴重なプロジェクトとなっている。

財団法人コンピュータ教育開発センター

研究開発室 主任研究員 高田昌幸

―どのような財団なのですか?

財団法人 コンピュータ教育開発センター(以下CEC)は文部科学省と経済産業省共管の財団法人として、昭和61年7月、学校でのコンピュータ利用促進のための基盤的技術を研究開発し、コンピュータ教育に関して普及啓発することを目的として設立されました。CECは、学識経験者、教育関係機関・団体、コンピュータ業界、ソフトウェア業界、教科書・教材業界など、広範な関係分野からの参加と、文部科学省、経済産業省、独立行政法人 情報処理推進機構、日本自転車振興会など様々な機関の支援を受けて活動しています。


―教科「情報」で企業を派遣したきっかけを教えてください。

CECは、先進的情報技術の活用の促進を図る教科「情報」における産業協力情報授業を実施しています。今日、社会では、質の高い情報化人材育成が叫ばれ、学校教育では教科として「情報」(高校の必修科目)授業が設けられたものの、日々進展する情報化社会の中で最先端技術やその活用現場に触れる現実的な授業が少ないのが実情です。この事業では、高校の教科「情報」において最先端技術等に関わる産業界の講師を派遣し、授業を実践することにより、産業界や地域社会等と協力しながら、質の高い情報化人材育成のための支援を行っています。昨年度は首都圏・関西の高校26校で授業を実施しました。


―生徒さんや、学校の先生はどのような感想を持っていましたか?

先生からの声としては、「単発ではなく月1回くらいこのような授業が受けられると良いと思った」、「皆、興味を持って集中して説明を聞き、熱中して制作に取り組んでいた。大変良い授業だった」という実施してよかったという前向きな感想が多かったですね。生徒からも、「丁寧に教えてくれたので、楽しくてわかりやすかったです」、「テキストもわかりやすいし、スライドショーもわかりやすくて、ウイルスの実演も楽しかった。貴重な体験になりました」など、実際の企業の方が授業をしたということで、興味を持って授業に臨んでくれたことがよかったと思います。


―今後の動きとしてどのようなことを実施していきますか?

情報化社会の進展により、学校における情報の漏洩・紛失、ウイルス感染等はますます増加しています。トラブルへの対応策の一つとして、各学校の実情に沿った実効性の高い情報セキュリティポリシー策定が有効であると考えられます。そこで、経済産業省委託事業「平成17年度教育情報化促進基盤整備事業」の一環として、個々の学校現場の実情に即したセキュリティポリシー策定の促進と、学校現場における情報セキュリティの向上を目的とし、ポリシーの策定及び運用に向けた手順等について解説した「学校情報セキュリティ・ハンドブック」を作成しました。これにより、少しでも学校でのセキュリティが向上すればという思いがあり、学校の先生にもいろいろな情報を知ってもらうということでセミナーなどに参加して情報を得てほしいと思います。


―企業教育研究会はどのような取り組みをされていますか

子どもたちが大きな夢を持てるように、それを実現するための生きる力を持てるように企業等その道のプロの方との“ふれあう授業”を提案しています。学校内だけでは出会えないリアルな社会との出会いや新たな夢・新たな可能性を見出すきっかけをつくっています。現在は、50社を超える企業が協力して小学校を中心に授業を行っています。その中で、情報・メディアリテラシー教育に関わる授業は20社程度の企業と授業実践をしています。また、経済産業省の指定で“キャリア教育”のプロジェクトは千葉県の教育委員会と連携で授業も行っています。高校では教科「情報」の担当の先生はまだまだ課題が多いと感じている人が多いので、現場の企業の方から話を聞くということはニーズがあると感じています。ただ、授業に時間をかけて取り組むことがカリキュラム上、難しい学校が多いですね。


―教科「情報」についてはどのように考えていますか

社会で情報技術がどう使われているかということを扱うというよりは、ワープロや表計算の操作を学ぶという授業が多いのが現実で、そのようなスキルを授業の中で行う必要があるかどうかは疑問で、教科「情報」がはじまったばかりで、いいものになるかならないかの分岐点に来ていると感じています。ここからいい実践を発表していかないと、教科「情報」の授業がコンピュータの操作を覚えるだけのものになりかねないので、CECも問題意識を持っているので一緒にがんばっています。教科「情報」はコンピュータを扱うだけでなく“ヒト”が授業の中に出てきて、その実践を知ることが生徒の将来を考えることができるのではないかと考えています。ですから、企業の方との連携は大変重要だと考えています。


―IT教育推進に向けての取組みについて

コンピュータを使って、コンピュータの知識を身に付けましょうという授業の提案をするだけでなく、ITが実社会でどのように使われているかということを多くの生徒に知ってもらうことを中心に据えています。


―情報の先生に望むことは?

いろんな企業の人と付き合ってほしいと思います。先生が学んできた情報については、少し前のことにどうしてもなってしまいます。情報社会の現状については学ぶことは難しい。様々な情報の場で動いている人に接していかないと、情報が古いものを教えることになってしまうし、社会とずれてしまう。他の先生以上に情報の場で動いている人に接してほしいと思います。

ヤフー株式会社

法務部 法務企画室 寺田陽亮

―CECの取り組みを始めたきっかけは、何ですか?

この部署は、インターネットの市場全体の環境を整えていきながらインターネットのマーケットを拡大していますが、ユーザーが不安に思っているところや、ハードルが高いと思われているところを、どのようにしたら安心して利用してもらえるかを多方面から働きかける部署となっています。その中で、将来インターネットを利用する子どもたちにどういうアプローチができるのかということから連携を始めました。昨年度は高校が2校と、東京都との連携で小学校を3校実施しました。


―学校で授業を取り組んでの感想はいかがですか?

キャリア教育という観点で授業を行ったのですが、まず初めにインターネットサービス業界を知ってもらうことで子どもたちにも興味を持ってもらいました。インターネットは恐いものではなくて、いいこともたくさんあるということを知ってもらえたと思います。授業は、インターネットサービスの企画を作ってみて、ビジネスとしてその企画が使えるかという中身で行いました。自分の興味のあることをビジネスにしようと一生懸命考えている生徒の姿が印象深いです。子どもたちが授業に生き生きと参加し、実際に社会に出ている人から話を聞けるということで刺激をたくさん受けることができたということが大きな成果でしたと先生が話してくださいました。自分たちで企画立案していく中で、いろんなことを考えて自分で満足した形で発表していくけれども、講師の先生から様々なアドバイスを受けて、さらに考えを深められたという感想を生徒たちからももらいました。


―コンピュータで授業を行える先生は、全体で7割弱といわれていますが、これから企業として先生に望むことは?

先生が身に付けているコンピュータのスキルというのはアプリケーションを扱えるというところにとどまっていて、小学校の授業でもアプリケーションの操作という部分が多くなっている気がします。小学校の段階ではアプリケーションが扱えるというところよりもコンピュータを活用してコミュニケーション能力を身に付けるというところも考えていくこと必要ではないでしょうか。


―今後のヤフーとしての働きかけは?

広く消費者が自分の情報の中身を判断して、自分の責任でインターネットのサービスに入ってもらいたい。自立した消費者を育てていきながら啓発していくことが、今後必要になると思います。教育の分野だけでなく広い部分で関わっていくことを進めていきます。

マイクロソフト株式会社 公共インダストリー統括本部

プログラム推進部 部長 熊野和久
アカデミックプログラムマネージャー 滝田裕三

―高校生向けにどのような授業をおこなっていますか?

教科「情報」の一環としてセキュリティチームの専門家による実践的な授業を実施しています。テキストも現場の教師と連携しながら、穴埋め形式のテキストにしたり、最後のまとめとしてクロスワードパズルを埋めながら授業の確認をおこなうなどして、学校の授業で使いやすいテキストを開発しました。授業タイトルは「情報セキュリティって何?」で、その授業内容としては、より身近になったインターネットの解説とフィッシングなどの危険性、実際にウィルス感染するとどうなるか、その対処方法などを2時間で学びます。


―情報教育で学校の先生に望むことは?

先生よりも生徒がコンピュータについて詳しいこともあるかもしれませんが、むしろ生徒から学ぶくらいのつもりで、新しいことにチャレンジしてほしいと思います。


―今後コンピュータ活用を学校で広げるためは?

ICT教育推進プログラム協議会と一緒に展開している「ICTスキルアッププログラム」を通じて、コンピュータを扱えるリーダーの育成を進めています。、その中でもお伝えしていることですが、”ICTリーダーが学校に複数いる“とICTの環境が広がりやすくなると思います。リーダーが一人だとその人にしか聞くことができませんが、複数いると聞きたいときにいつでも聞くことができるのが大きいですね。例えば、一人が転勤になったとしても他のリーダーがカバーすることができます。


―民間企業が学校の情報教育に入っていくことに対してどのように考えていますか?

必要性を強く感じています。ただしICT推進の取り組みは企業だけの思いで進めるのではなく、学校現場の先生と、それぞれの立場を理解しながら一緒に進めていくことが必要かと思います。


―ICT推進の取組みとしてどのようなことを行っていますか?

学校に寄贈されたパソコンにOSのライセンスを無償で提供したり(365校)、企業から提供された使用済みパソコンを再生して、学校に寄贈(約1800台)したりしています。また、教職員のICTスキル向上を支援する研修を行ったり、学校現場でマイクロソフトの製品を活用しやすいようにテンプレートなどをホームページ上で提供しています。

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