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2011年7月21日

Amazonの電子教科書レンタルの先にある教材の越境【コラム】

 米Amazonは7月18日、、学生向けにKindle版の教科書を貸し出すサービス「Kindle Textbook Rental」を米国で立ち上げたと発表した。

同サービスはKndleだけでなく、Kindleソフトウェアが入ったPCやスマートフォンでも利用できる。レンタル期間は30~360日で指定できる。最短30日の場合は紙の教科書よりも80%割引される。もちろん購入も可能だ。

数万冊の教科書が用意されており、種類も豊富である。

20110724Kindle textbook.jpg 現在はアメリカの教科書が中心であるとはいえ、次第に各国の教科書もレンタル可能になると思われる。そうすれば日本でも海外の教科書に気軽にアクセスすることができるようになる。

 ここで、海外の教科書を翻訳すれば日本でも普及するということを考える人もいるかもしれないが、実際はそのようになる可能性は現段階では低いかもしれない。

その理由は3つである。

1つは、教科書の質の問題である。日本には教科書検定の制度があり、義務教育課程の教科書はすべて文部科学省の審議会が内容を審査し、それを合格とした教材である。

一方で、海外の教科書の多くは書籍と同様に検定を通らずに学校で使用される。そのため、記述の姿勢に偏りが見られることも少なくないと言われている。

そのような海外の教科書の全体を日本の教科書と同様のレベルで教材として活用できるかどうかには疑問である。

もう1つは学習指導要領を含む教育制度である。日本と海外では教育制度が異なる。新学習指導要領では日本でも英語が小学校で取り扱われるようになったが、北欧諸国などでは小学校で第二外国語を学習することはごく当たり前に行なわれてきていた。

語学以外の学習範囲も一様ではないため、海外の教科書をそのまま日本で学習に利用するのには無理があるだろう。

最後の理由は、教科書はその国の文化を色濃く反映しているものであり、同じ科目だからといって、同じ項目を同じように理解できるとは限らないと思う。

7月14日付けのITProの記事で中国語学習eラーニングサービスのWEICの内山雄輝社長のインタビューが出ている。

この中で内山氏は「語学を通じて文化も学ばずに市場の分析はできない。中国でモノやサービスを売りたいなら、まずは中国語の学習から始めるべきだ。」と述べている。

この逆のことが教科書の場合にも言えるだろう。つまり、日本の文化向けに作られていない学習教材を日本人がそのまま利用することが難しいのである。

 ここまで、翻訳された海外教科書が越境し、将来的に日本で普及する場合の問題点について述べてきた。

実際に海外の教科書が使われる際は日本の教科書を使いつつ、海外の教科書を比較しつつ参照するという使い道が一つの有力な使い道であるように思える。

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