
「萌え」キャラブームはとどまるところを知らないようだ。先日「あきたこまち」が有名イラストレーターに描いてもらった萌えキャラをパッケージに起用したところ、注文が殺到し受付停止にまで至ったという話は記憶に新しい。
今度は化学の参考書で萌えキャラが用いられ、人気になっている。
『元素周期 萌えて覚える化学の基本』と題されたこの本は、「あなたのお気に入りの元素娘を見つけよう」というキャッチフレーズで、33人のイラストレーターがそれぞれの元素の性質、利用法、命名者からイメージしてキャラクターをデザイン、話題を呼んでいる。たとえば、電気の伝導率の高い「銅」はツンツンヘアの元気娘が「電気を運ぶよ」と言い、貴金属の「白金」ならばゴージャスなドレス姿の美少女というように描かれている。電子構造図、融点や沸点の温度、発見のエピソードなども記されていて、決してネタに走っただけの企画本ではなく、覚え易い工夫がなされている。A5判、223ぺージ。
発端は、文部科学省が05年に制作した元素周期表で、グラフィックに重きを置いている点が特徴的だった。すぐに10万部がなくなる大人気で、これに目をつけた同社が「各元素の特性に合わせて擬人化して周期表にしたら面白いのでは」と思ったのがきっかけだという。
もともとアニメやマンガの一特性だった「萌え」がメディアミックスを始めたのはいつからだろうか。有名なのは03年に三才ブックスより販売された『もえたん』だろう。一つの英単語に対してその解説と例文が掲載されているのだが、その例文がマンガやアニメなどの名台詞を英訳してあるのが特徴で、まさに「知っている人がニヤッとする」マニアックさを備えたのも人気の原因だった。その後『もえたん』は1,2巻合わせて40万部を売上げ、アニメ化されるほどの大人気となった。
購買層は基本的にアニメやマンガを趣味とする所謂「オタク」層だと思われるが、その売上の多さは社会現象に近い勢いを持っている。オタク層の正確な人数は不明だが、売れたこと、話題に上がったことによって一般受験生や社会人の購買意欲を刺激したのだろう。今は一般の参考書でもイラストやマンガ仕立てで構成され「マンガで覚える~」や「萌え〇〇」と銘打つものが少なくない。こうした傾向に内容密度の薄弱化が指摘され批判の声も上がるが、逆にとっつきにくい分野の敷居を下げた良質の入門書としての評価が下されていることも事実だ。
先日各国のWikipediaの編集回数ランキングが出たが、アメリカ版の1位がジョージ・W・ブッシュ、フランス語版が2005年2月の出来事、なのに対し、日本語の1位は人気漫画ワンピースの登場人物一覧だという結果が出た。日本は2位以下もアニメやゲームの項目が席巻した。
いかに日本人が二次元メディアに対し強い関心を抱いているかがわかる集計結果だろう。「萌えメディアミックス」はある程度ワンパターン化する怖れもあり、実際に乱発されつつある現状に対する批判も出ている。しかし、売れ筋商品であることに変わりはなく、 ブームはまだまだ続きそうだ。
このエントリーのトラックバックURL
http://121.119.184.163/mt/mt-tb.cgi/483