文部科学省は大学の学部段階の教育について、法学や経済学、工学などの専門分野ごとに最低限教えるべき内容を示す「コア(基本)カリキュラム」を策定する検討に入った。
学習指導要領に縛られる小中高校と異なり、大学は教える内容を自由に決められる。事実上の「全入時代」を迎えつつある中、学部教育の質を維持するには国による一定の指針が必要と判断した。
中央教育審議会と文科省は学部教育の充実を今後の重要課題として打ち出しており、今回の検討はその一環。
少子化が進む一方で、大学の新設が相次いでおり「学部教育の質の保証が後回しになっている」との批判が出ていた。ただ、自主自立を原則とする大学に対し国が規制を新設することに、大学側からは反発の声も出そうだ。
現行制度下でも医学教育には文科省が定める「モデル・コアカリキュラム」があり、医学部を持つ大学はこれを基本にして講義内容を編成している。こうした仕組みを他の学部にも応用し、分野別に卒業までに最低限身に付けるべき内容を指針として示す。
コアカリキュラム以外にも、到達目標を設定したり、学習成果を測る卒業認定試験を実施したりすることも検討。大学間で共通に使えるモデル教材の開発なども目指す。
具体的にどういった内容を最低ラインとして設定するかは、学術分野の専門家集団である日本学術会議に文科省が審議を依頼する方向で検討している。同会議と中教審が共同で議論する連絡協議会も設ける。
また大学ごとに多様化が進んでいる学部名(学位名)が混乱を招きかねないとして、例えば英語で表記した場合に海外でも通用するかや、教育内容に合った名前になっているかなどを基準に、名前の付け方に一定のルールを定めることも検討する。
文科省の学校基本調査によると、2007年度の大学・短大の全志願者数に対する入学者数の割合は90.5%。100%の「全入」の一歩手前まできている。学生が多く集まるのは有名大に偏りがちで、私立大の4割が定員割れを起こしている。