大学教員による授業改善の実践例を集めた「授業を効果的にする50の技法」(アルク)が出版された。大学全入時代に向け、「教員の教える力を高める取り組み」=FD(ファカルティー・デベロップメント)に力を入れる大学が増える中、活用が期待されている。
文部科学省によると、「教員研修会」や「教員相互の授業参観」などFDを進めようとしている大学は年々増え、2005年度には国公私立計713大学の81%が、何らかの形で導入しているという。
ただ、現実には、講義や座学が中心で、教員たちに授業のノウハウを伝えるところまでたどりつかない大学が多い。教員が教材として使える資料も、これまでほとんどなかった。
そこで、赤堀侃司(かんじ)・東工大教授を中心に、松本准教授ら授業改善に取り組む各大学の教員ら8人が、「授業の導入法」「質問を活発にする方法」「出席の取り方」といった場面ごとに実践例をまとめ、今年8月、「50の技法」を出版した。
今日では、45分しか集中力が持たない学生も多く、教員は学生の興味を引きつけるための、新たな技法を見つけなければならないと言う。
講義の質を落とさずいかに学生によく理解させるか、大学教授に要求される「教え手」としてのスキルの向上は並々ならないだろう。
特に、現在教壇に立つ研究者たちは「意欲のない学生」が大学に来ていること自体、経験的に理解しづらい人も少なくないだろうから、その精神的な葛藤や負担は容易に察しがつく。
この本で紹介された実践例が大学側の取り組みの助けになることを期待する。
同書は、インターネットによる注文販売。1800円(税別)。