文科省の諮問機関である中央教育審議会のキャリア教育・職業教育特別部会は5月17日、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の第2次審議経過報告をまとめた。こちらのウェブサイトで、報告の内容をPDFファイルで見ることができる。
この報告では、非正規雇用者やニート・フリーターの増加や、就職後3年以内で会社を辞めてしまう早期離職率の上昇を受けて、高校時代から学生の社会人・職業人としての自立を支援するキャリア教育の推進をすすめようと提言している。
報告の中で特に重視しているのは、高校教育、とくにも高校普通科の教育の見直しだ。報告の中では、「キャリア形成に共通して必要な能力・態度」の育成などを後期中等教育(高校)修了までの目標とするよう提言しており、具体的には以下の目標をあげている。
▽社会人・職業人として自立するため、どんな能力や態度をどれだけ身に付けるかという到達目標を高校ごとに設定すること▽就業体験など体験的学習を充実させること▽コミュニケーション能力などキャリア形成に必要な力を各教科・科目を通じて身に付けさせること▽高校の進路指導の在り方をキャリア教育の観点から見直すこと――
この報告を読み読み自分が大学に進学するときのことを思い出すと、あの頃の自分にとって大学は「ブラックボックス」だったと思う。地方の進学校にいて当然大学を目指す環境にいてそのための教育を受け、周りの友人も大学に進学することに疑問を持つ人はほとんどいなかった。なぜ大学に進学するのか?自分は大学でどんな勉強をし、どんな力を身につけたいと考え、そのためにどんな努力が必要なのか。そういった問いかけを自分自身にぶつける機会は少なかったように思われる。自分はずいぶんのんきな高校生だったのかもしれないが......。
あの頃感じていた、大学という場所がなんとなくつかめない気持ちのモヤモヤは何だったのだろう。そう思い返しながら、家で当時取り寄せた大学の資料を眺めてみた。そこで感じたのが、高校-大学間の接続の悪さである。大学の資料を見てみても、大学の特色もわからない、何を学べるのかよくわからない。マーケティング学、文化人類学、社会学、数理学、...学問のカテゴリ名が並んでいても、何をしているのかよくわからないというのが資料を見ての本音だ。
オープンキャンパスなどに行っても、学生から大学生活のことを聞ける機会はまれで、高校時代の友人との会話を思い出しても、大学をどう暮らして、将来どうなっていくか、多少ぼんやりとでもビジョンを描くことができていた人は少なかったように思われるのだ。
実際に進学してみて、学習スタイルにも生活スタイルにも高校生活とのギャップに苦しむ学生は少なくない。楽しみながら自分を適応させるのに成功させる学生がほとんどだが、進路に悩みふさぎこむ学生が出てしまうのは、そういった高校からのギャップが一因しているように思われる。
考えてみれば、「中1ギャップ」という言葉があるように、進学時にはなんらかのギャップを感じてしまうもの。その中でも、高校-大学間に感じる変化は特に大きいように思われる。現在の教育の状況において、キャリア教育の重要性を唱える傾向は必然だ。しかしながら、急にそれを言われても、学校側も学生側も何をしたらよいかわからない、というのが本音ではないだろうか。
小学校から高校までの厳然としたカリキュラム教育から、大学進学に向けて突然「自分の将来に向けて、視野を広くして考えろ」と言われてもピンと来ないのは当たり前である。それよりもまず、小学校から連続する教育の中で、小・中・高・大のそれぞれのスパンの間に連続性をもたせていくことが必要ではないだろうか。今までの自分をふまえた上で、これからの自分を見つめること。そして、進学希望の選択がより広まるよう、高次の教育機関の情報をもっともっとオープンにしていくこと。キャリア教育とひとことで言ってしまうよりも、現状に横たわる「ギャップ」を埋めることが必要だと思われる。
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