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012学校教育

2008年12月18日

日本の理科離れ -国を挙げて理科の「魅力」を見せ付けるとき

日本人の理数離れが叫ばれている。

「科学立国ニッポン」は、危機に瀕しているようだ。近年は日本の15歳の学力が世界トップレベルから転落したし、何より重視しなければならないのは「理数系への興味の薄れ」だ。

国際教育到達度評価学会(IEA)が日本の小学4年生と中学2年生を対象に実施した調査によると、日本は小中学生共に上位5位以内に入る健闘を見せたが、「勉強が楽しいと思う」子どもの割合が低下していることも同時に判明した。「勉強が楽しい」という中学2年生は、理科で約6割、数学は約4割にとどまる。経済協力開発機構(OECD)の06年の学習到達度調査(PISA)でも、科学が楽しいと思う日本の高校生の割合は50%に過ぎず、参加国で最低レベルだった。将来のために理科の学習は重要だと考える生徒も42%にとどまり、意欲の低さが顕在化した。

 

これから日本の教育はどうするべきなのか?

 

先日、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)では、シンガポールや台湾、韓国など東アジア諸国が各教科で上位を占めたことが明らかになった。「資源の少ない東アジアでは、IT分野など理数系に特化した人材を育てようと、国策で初等教育に力を入れている」と国立教育政策研究所の猿田祐嗣総括研究官は指摘する。

全教科で3位以上の成績を収めたシンガポールは、徹底したエリート選抜システムが特徴的で、小学校高学年から試験による振り分けが始まり、厳密な能力別教育で競争心をあおる。韓国の学歴社会は日本の比ではなく、学習そのものに対する生徒の意欲が高く、国家の支援も並ではない。また、算数で1位の香港は高学歴が高収入につながるとの考えが根強い。

「学ぶプロセス」重視の欧米に対し、東アジアは「学ぶ」こと自体に力を入れている。要するに東アジアは国を挙げての詰め込み教育を行っているのだ。これはゆとり教育以前の日本と同じ方向だと言える。小中学校の段階では効果があるが、想像性や好奇心が損なわれるとの批判も多い。

 

一方、世界一の学力を誇るフィンランドの学習理念は「皆で社会を築こう」というもの。義務教育期間は徹底して教育費用は無料である。一人一人が向上すると言う方針に基づいて生徒を評価し、点数主義をとらず、ランキング付けもしないという。しかし、教員に関しては厳格な指導が要求される。生徒に尊敬され、生徒一人一人の能力を高めるための木目細かい指導が出来る教員を、国が育成しているのだ。政府が全体的なカリキュラムや方向性を決め、教育省が具体的に決定し、各地方が施行する。フィンランドの学習法は前世代の日本の学習の原点に近いという意見もある。

 

この両極的な学習指導は、その方向性こそ違えど、どちらも「国を挙げて教育に徹底した一貫性を持つ」点で共通する。

 

これに対し、現在の日本はどうだろうか。特に理系に関しては、国家の予算逼迫に伴う教育費用の削減に伴い、理科の実験器具すらままならい。自腹で実験器具を用意している教員すらいると言う。ゆとり教育は撤廃こそされたが、総合学習という名の下学習時間は削減され、その「総合学習」も学校ごと、教員ごとの采配に委ねられるものが多い曖昧なものであった。そこには国としての情熱は見られず、国が教育を学校に丸投げしていると見られても仕方がない。

 

また、理系生徒の将来的な不遇にも原因はあるのかもしれない。理系は大学院を出ないとまともな就職先も見つからないのが現状で、学費も決して安いとは言えない。また、折角就職してもエンジニアや研究職は労働の過酷さの割りに収入は低いと言われる。最終的には営業を担当する文型が多く収入を取る、という日本の経済システムが中高生にまで伝わり、理数系への「魅力」が薄れている一因になっていることは否定できない。

 

今日本の教育は混沌の時期を超え、一貫した方向を定めようとする時期に来ている。教育格差が開く一方の日本が、再び詰め込み教育に戻るのか、フィンランド式の健全で奔放な教育に戻るのか、それはまだわからない。しかし、国は子どもたちに見せる「学習への情熱」が、必要以上に大事であることを自覚すべきだと思う。希望のある学問に人は魅力を感じるだろう。理科離れへの対策は、まずは理科の内容的な、かつ社会的な「魅力」をもっとアピールしていくことから始まる。

 

 

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