「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」は2010年12月10日、デジタル教科書教材の普及に向けた計画「DiTTアクションプラン」を発表した。以下がその概要だ。
・2015年度までの三つの目標
(1)全小中学生に情報端末を配布
(2)全教科のデジタル教材を開発
(3)全授業のうち約3割での利用
・デジタル教育を通じて目指す将来の国家目標
「創造力」「コミュニケーション力」「学力」の3指標で世界1位を目指す
・デジタル教科書教材が対象とする市場規模は約4兆円
・2010年度内に第1次、2011年度に第2次標準ガイドラインを策定する
・2010年度内に「DiTTビジョン」を策定する
・2011年度から新しいデジタル教材、アプリケーション、学習環境を開発する
・2011年度から国と連携して学校や課外ワークショップでの実証実験を行う
・これらを踏まえ、制度、予算、標準ガイドラインなどの政策への反映を図る
DiTTは、ホームページ上でスライド資料を公開(こちらのページを参照)、まず日本国内の経済の低迷・自殺率の増加といった混迷する社会状況を指摘。続いて、かつては世界でも高水準の教育水準を誇っていた日本の学力低下を数値で示し、優れたICT基盤を持ちながら「教育・人材」でのICT活用の遅れを指摘している。そんな状況の打開策として、教育による底支えが不可欠であるとする。そのうで、教育・学習環境の改善をもたらすデジタル教育を提唱する内容だ。電子ツールを使いこなし、情報を活用して他者と連携しながら自立的に選択する能力を養うことで、将来的に学力だけでなく創造力・コミュニケーション力においても世界一になるというビジョンを掲げている。
しかしながら、デジタル教育による明るい未来を前にして、それに向けた環境づくりにはまだまだ課題が多い。法制度や著作権処理、情報モラルやICTリテラシーの教育、デジタル教材を扱う教員の養成、デジタル教科書の標準規格や評価基準づくりなど、新しい教育が効果を発揮する環境をととのえるにはまだ時間がかかるのである。かといって、環境がととのうのを待っていては、2015年はすぐにやってきてしまう。インフラ・法制度の整備・人材教育・コンテンツづくりなどなど、できることからどんどん進めなければならない。現段階から、実際に教育現場にデジタル教材を導入して実証実験を重ねていくことが欠かせない。
DiTTは、デジタル教育がもたらすメリットを列挙しながらも、反復学習の効率化による「考える機会の喪失」「個別学習による習熟度格差の発生」といった弊害も指摘。また、従来の教育よりも圧倒的に増加する情報量を前にして、児童・生徒がどんな影響を受けるのかは未知数である。
DiTTが作成した工程表によると、今年度中に第一次標準ガイドラインの策定、来年度の2011年度には第一回政策提言を予定している。「教育ICT化」を目指しながら、デジタル教科書の定義も規格もはっきりとしていない日本には、まず国家レベルで一つのビジョンを持つことが急務である。教育デジタル化反対派との議論が激化することが予想されるが、新しいデジタル教材の可能性を探ることを軸に、今後の教育改革の方向性を定めてゆきたい。
◆「DiTTアクションプラン」発表のお知らせ(デジタル教科書教材協議会)
http://ditt.jp/news/1213
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