4月25日に明治記念館で行われたデジタル教科書教材協議会(DiTT)の成果報告会に参加した報告です。
報告会の冒頭で、中村伊知哉氏(DiTT副会長/慶応大学教授)による開会の挨拶が行われた。
まず、DiTTが初年度の目標であるコミュニティの形成はできたとした。次に、3月に起きた東日本大震災で63万冊の教科書が水で流されたことに触れ、教科書をどうクラウド化するのかが大きな取り組みであることを再確認し、復興に向けて教育の情報化の重要性を強調した。
石戸奈々子氏(DiTT事務局次長)による2010年度DiTT活動報告では、昨年度のアウトプットとしてアクションプラン、提言書、ビジョンの作成を挙げ、最後にビジョンの一環としてPVの放映を行った。
続いて、中村氏が行ったビジョン発表では、政府が2020年度まで達成するとしている
・小中学生全員への情報端末の配備
・全教室への超高速無線LANの配備
・全教科のデジタル教科書・教材
を15年までに前倒しして実施することを含め8つを提言を行った。
提言は以下の通り
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○目標の前倒し
○官民共同実証実験の拡大
○教育クラウドの早期導入
○教育情報化臨時措置法の制定
○政府の情報化に関する政府予算の大幅増額
○連絡協議会の設置
○復興対策との連動
○海外展開の促進
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その後、第一次提言書発表と基調講演が行われた後、パネルディスカッションへ移る前に藤原和博氏(DiTT副会長/東京学芸大学客員教授)のトークが入った。
その中で藤原氏は被災地で避難所となっている学校に700個のロールケーキを届けようとし、避難所に800人の人がいるため平等に配れないという理由で避難所の管理者である校長に断られたという例を挙げた。
果たして平等を主張した校長の判断は支持されるのかどうか、会場では藤原氏の呼びかけにより隣同士での議論が行われた。
会場では支持しない人が多かったが、これは藤原氏が「TIMSS(国際数学・理科教育調査)型の典型的な『正解主義』の問題」として氏の掲示板でも取り上げた問題である。
パネルディスカッションでは、デジタル教材の使用によって授業が画一的になるのか、という問いに対して各参加者が議論を行った。
この中で議論が筆者が注目したのは「授業が画一的になるのは教師のせいではないか」というテーマ。田原総一朗氏(DiTTアドバイザー/ジャーナリスト)が「教師がデジタル教材に頼るようになるのは危険なんです。教師の教え方が大事。」という意見に藤原氏が「教員の養成過程にディベートが含まれていない。ワークショップ型の授業になれさせておいて、デジタル教材に入っていかないと田原さんの言った通りのことになってしまう可能性がある」と続け、他の登壇者からも「DiTTは教師像に対してのプランニングが全くないのはおかしい」という声が挙がった。
会場を見渡せばプレス席にいる筆者らの周りを除き、IT・教育・教材系の企業を中心とするDiTTの参加団体・企業の参加者が多い印象を受ける。デジタル教材時代の教育を考えるために教師が大きな役割を果たすのであれば、壇上からも指摘のあった通り教師にも何からの形で加わってもらうことが必要ではないのか。
この成果報告会はニコニコ動画でも放送されていたが、平日の昼間に放送を見ることのできる教師はほぼいないと考えられるため、DiTTは企業の側を向いていると指摘されても仕方のないことであるかもしれない。